空飛ぶタイヤを読んだ

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

 最初「空飛ぶタイヤ」と見て「どうゆうこと?」と思ったが、実際にあった事件をもとに描かれていてドラマや映画にもなっていたというのは知らなかった...
これは赤松が社長を務める運送会社のトラックが脱輪事故をおこし母子が死傷してしまうところからはじまり、社長が逮捕寸前から大手自動車会社のリコール隠蔽に立ち向かっていく。
さらに被害家族からの訴訟や取引先からの突然の取引停止など、数々の問題が降りかかるが、それら逆境・苦難を乗り越えていく様子が描かれている。
事故をきっかけにどん底にまで突き落とされた赤松社長が社員や自分の家族、被害者の家族のため死に物狂いになって行動する姿に心を打たれる。
会社が倒産寸前まできて赤松社長自身が自殺を教えるシ一ンがある。クリスマスの日、自殺を取り留め家に帰るとクリスマスパーティーの準備をして待っていた家族が笑顔で迎え入れる。もし赤松社長が帰らぬ人となっていたら...考えて涙が出た。
「ホープ自動車」の組織の政治体質というのだろうか、あまりの悪態さに腹が立ち、それに立ち向う赤松社長を応援したくなる。
最後まで目の離せない面白い内容だった。